日本の伝統音楽小史(2)伎楽・雅楽・声明・今様

【日本の音楽①】伎楽(きがく)

一番古い記録では5世紀に大陸から伝来したそうです。
またそれとは別に、「伎楽」という仮面音楽舞踏劇も伝わり、呉舞ともいわれ、長江下流の呉(中国長江下流域)から伝わったとされ、今も毎年薬師寺で伎楽の奉納が行われています(平成4年から復興した)。この中に獅子が出てきますが、獅子舞の原型とも言われているとか。
とても素朴でのどかな感じが奈良っぽい(^-^)。

平城京 | キャンペーン | うましうるわし奈良 | JR東海 -日本最古の仮面劇- 伎楽とはなんぞや?

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【日本の音楽②】雅楽

8世紀(奈良時代)には、「雅楽寮(うたまいのつかさ)」が701年に創設され、「和楽」のほか唐楽、三韓楽(朝鮮半島)、伎楽、ベトナム、タイの音楽などが学習されていたが、30年ほど過ぎたら「和楽」は縮小され、外来音楽(唐楽を中心にしたもの)が中心になったらしい。
優れた外国音楽が土着の音楽を圧倒し、駆逐する現象は明治維新のはるか昔にも行われていた。(内藤孝敏著「三つの君が代」) 

三つの君が代―日本人の音と心の深層

三つの君が代―日本人の音と心の深層

 

 
日本人はやっぱり基本的には新し物好きなんでしょうかね。
動画の楽器は、篳篥(ひちりき)、笙、龍笛の管楽器、弦楽器は、筝、琵琶、打楽器は羯鼓(かっこ)(小さい横置きの鼓型)、太鼓(銅鑼大)、鉦鼓(しょうこ、鐘のような音色)


管絃 壱越調 春鶯囀遊聲 Kangen Ichikotsucho Shun-noden no Yusei

【日本の音楽③】声明

736年、インドのバラモン僧が仏教儀式音楽「声明(しょうみょう)」を伝えた。これは宗教だけでなく、日本の音楽にとっても非常に大きな出来事であった。日本仏教サンスクリット語や中国語を正式な声明としていたが、次第に日本語を使って歌うようになり、それが様々な形で日本の芸能に影響を与えるようになったのである。(「三つの君が代」)
その前の時代の雅楽とは趣が違い、歌の節回しという意味では、文楽で聞くものに近く、それに通じるものを感じます(*^-^*)


【声明】 高野山真言宗 「理趣経」 中曲 合殺 於:神戸・西室院

 

【日本の音楽④】今様

平安末期、後白河法皇は歌をとても好み「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」(優れた声の響きが建物の梁の塵を落とした、という中国の故事に因む)という今様(いまよう)を編纂。ここでいう歌は和歌のような詠む歌ではなく、歌うための歌。(「三つの君が代」)


「舞へ舞へ蝸牛  舞はぬものならば 

馬の子や牛の子に蹴ゑさせてむ 踏み破らせてむ 

実に美しく舞うたらば 華の園まで遊ばせむ 」

(かたつむり舞いなさい、舞いなさい。舞わないのなら、馬の子や牛の子に蹴らせようか。踏み割らせようか。ちゃんと可愛らしく舞ったなら、きれいな花の庭に連れていって遊ばせてあげる)


「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、

遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ」
(遊ぶために生まれて来たのだろうか。戯れるために生まれて来たのだろうか。
遊んでいる子供の声を聴いていると、感動のために私の身体さえも動いてしまう。)


などが有名らしいですが、今読むと新鮮だけど、前からあったような懐かしい、小さな者への眼差しが細やかで愛情を感じる歌です。
動画の歌の節回しは当時のものではなく、オリジナルのようです(^^;

 


【初音ミク】遊びをせんとや生れけむ【梁塵秘抄】